私が小学2年生だった頃のお話です。
引っ越ししたての新築の我が家。両親が共働きだったのもあり、早くもいわゆる「鍵っ子」デビューをしました。
学校から帰って家の鍵を開けて帰宅、両親が帰ってくるまで何しようかな♪が日課でした。
ある日、いつもと同じようにルンルンと帰宅した私。
鍵を開けようとしたら、鞄のいつものポケットに鍵が見当たりませんでした。
服のポケットもどこを探してもないんです。
朝テーブルの上に鍵を置き忘れて家を出てしまったようです。
朝は両親より先に家を出たので鍵を持つのを忘れていることに気付くはずもありませんでした。
当時は携帯電話などもなく、両親に電話をすることもできないのでなす術がありませんでした。
そこで私はひらめいたのです。
「こういう時はこの前テレビで見たアレだ!」
私は鞄の中を探してゼムクリップを取り出したのです。
それを伸ばして真っ直ぐにして……
そうです。小学校2年生の女子がまさかの「ピッキング」を試みたのです。
我が家の鍵はいわゆるスタンダードなタイプ。
しかも玄関の扉は鍵が二つついています。
素人の子供に開けられるはずもなく。
ポキ。
折れました。伸ばしたクリップが鍵穴に刺さったまま。
こりゃやばいと思った私は何とか折れたクリップを鍵穴からほじくり出そうとしました。
全く出てくる気配もなく途方に暮れていると、後ろから母の声が。
私は鍵を忘れた事を伝えました。でもピッキングしようとしたことは黙っていました。何となく。
鍵を開けようとした母は鍵穴に何か刺さっていることに驚愕。
泥棒が来て鍵を開けようとしたのかと大騒ぎに。
その時私に「あんたがやったのと違う?」聞いてきたのですが、違うと必死に嘘をつきました、
もう心はボロボロ、怒られたくなかったのです。
そうこうしているうちに父も帰宅。
2階のベランダの窓なら朝開けたままだからそこからなら入れるけど、という話になりました。
運動神経の良かった父がベランダをよじ登り窓から侵入。
室内から鍵を開けて、鍵穴に刺さった折れたクリップも無事抜くことができてひと安心。
2階の窓が開いていて本当に良かったです。
今思えば、私じゃない誰かが鍵穴をピッキングしようとしていたなら警察に通報しても良いレベルの事ですよね。
母は私がやってないという嘘を見抜いていたんだと思います。
母親には隠し事は無理だなぁと思った私でした。
この事件があってからは鍵だけは絶対に忘れて出掛けることはないです。