うっかり家から閉め出されたけど……。

数年前のことです。
定番ですが、家の鍵を忘れて家に入れなくなったことがありました。

その日は家族が全員出かける日で、事前に知らされていたにも関わらず、私はうっかりと鍵を自室に置いたまま出掛けてしまいました。
帰宅した時には家族は全員外出しており、当時ながら玄関のドアも施錠されていて、私はドアの前で立ち往生。
しばらくの間は途方に暮れていました。

季節は夏、外にいるだけで暑さで体力が消耗していきます。
家族が帰ってくるのは数時間後。
日差しは耐え難く、仕方がないから駅の方面へ戻って、適当なカフェで時間を潰そうかと考え始めた頃、私はあることに気がつきました。

私の家は一軒家なのですが、西側の側面、キッチンがある窓は大抵鍵がかかっていないことが多かったのです。
もしやと思い、祈るような気持ちでキッチンがある方面の窓へと向かいました(背の高い草がボーボーに生えていました)。
果たして、鍵は開いていました。
窓は腰以上の高さにあったので、苦労しながら登り、ようやく私は家に入ることができました。

ああ、よかったと一安心、ホッと胸を撫で下ろしたのもつかの間、とんでもないことに気がつきました。
「いや、よくないよ! 窓開いてんじゃん!」
家が無人であるにも関わらず、今の今まで侵入経路が開放されていたことにやっと気づいたのです。
ですが、このうっかりのおかげで助かったのも事実。

うっかりしたせいで困ったことになりましたが、うっかりのおかげで事なきを得た、なんとも奇妙な出来事でした。