ひいおじいちゃんが大切にしてきた手提げ金庫、長年見つけることが出来なかったダイヤル式鍵付き金庫を開錠する日がついにきた!中身は金銀財宝か?と興奮する友人の家族。しかし出てきたものは……。意外なお宝でした。

知人の家族を巻き込み大騒動した鍵トラブルのお話です。 知人の家は知人が生まれる前に亡くなった曽祖父から代々飲食店をしていたのですが、両親いわく、ひいおじいちゃんは仕事終わりに必ず、手提げ金庫をとり出して、そこに小銭や売り上げ金を入れていた記憶があるのだけど、随分昔の話なので、その手提げ金庫が一体どこに仕舞ってあるのか分からなくなっている。と子供頃から、親戚一同からも、謎の金庫と言われる金庫があったのです。両親の母親一族のひいおじいちゃんだったのですが、亡くなるまで、ひいじいちゃんが誰にも触れさせず、隠すようにいろんなところに納戸や押入れなど、手提げ金庫を毎日違う場所に隠して、とうとう、亡くなる直前に、どこに隠したのか分からなくなって、所在不明になってしまったということなんです。知人の家は、家屋も古くて階段の下や、押入れの天袋なども穴が開いており、そこに隠したのではないか、とひいおじいちゃんが亡くなった後に探したんだそうですが結局その時はみつからず、手提げ金庫をみつけることを諦めたんです。それから、知人が生まれて、数十年経った時、ひいおじいちゃんから引き継いだその家のリフォーム話があり、家の全面改装ということで、一時的にすべての荷物を父親の実家に預けて、改装が終わる前まで、父親の実家に引っ越しました。その時は、ひいおじいちゃんの隠した手提げ金庫のことなどすっかり忘れていたんです。しかし、改装前の家から荷物を全て取り出して、何もない状態にしたはずの家で取り壊し作業をしていた作業業者の方から連絡があって、天井裏から、手提げ金庫がみつかった。とのこと。びっくりして、改装中の家に手提げ金庫を引き取りに行った知人。作業員の方いわく、天井裏を確認するために覗き込んだところ、天井の壁が不自然に穴が開いていて隙間から金庫が手で届く範囲に隠すように置かれていたのを発見した。ということ。ひいじいちゃんが隠したとおもわれる謎の手提げ金庫、終に発見とワクワクする知人。本当にあったんだと嬉嬉としていましたが、まずは両親に確認しなければと、 その金庫を知人は渡してもらって、両親に、長年探していたひいじいさんの手提げ金庫らしいものが見つかったことを報告し、仮住まいの父親の実家で両親とともに開錠することにしたんです。しかし、ダイヤル式鍵がついている硬質な素材でできた、金庫。ダイヤルの開錠する番号もなくなったひいじいちゃんしか分かりません。あてずっぽうで子孫である母親が、数字を合わせて見てもダメ。業を煮やした母親は、ひいじいちゃんの末裔である親族に片っ端から連絡。しかし皆ダイヤルの番号を知らないというなかり、それどころか金銀財宝が詰まっているに違いないと興奮した親族が父親の元に集まってきて、ダイヤル式鍵が開錠できたら自分たちにも、金庫内の財産の分配してもらう権限があるという始末。もうどうしようもない状況で、仕方なく、手提げ金庫の鍵を鍵開け業者にお願いして開けてもらうことにしたんです。 で手提げ金庫は見事に開錠したのですが、ワクワクしながら中身を確認しましたが、中身は金銀財宝なんてものは小銭はおろか、金品的な財産に関わるものは一切ありませんでした。 中身に入っていたものは大量のメモ書きとノート一冊だけ。 内容はひいじいちゃんが飲食店をしていたころの秘伝のレシピの調味料の配合や、自分の毎日の生活の日記帳。 そこには、家族への愚痴や、客との会話などがこと細かに記されたもののみ。 それをみた親戚一同はがっくりと肩を落として、しぶしぶと引き上げてくれました。 しかし、喜んだのは知人の両親、長年、飲食店をしていたので、ひいじいちゃん考案のレシピを再現したい。と常に思っていたんだとか。 常連さんの中にも昔のひいじいちゃんの味を知っている人がいて、あの味つけが忘れられないと言っていたとか。 わざわざ、ダイヤル式鍵つき金庫に入れて隠していたぐらいのレシピ。 鍵を壊してまで開錠して、本当に良かった。と飲食店を引き継いだ知人の両親は言っていたんだそう。 知人の両親にとっては、ダイヤル式鍵の手提げ金庫に入っていたひいじいさんのレシピは、大切に残してくれた最高の財産だったと、ひいじいさんと、レシピが消滅することなく守ってくれていた開錠が困難なダイヤル式鍵付き手提げ金庫にいれていてくれたことを感謝をする気持ちになったとしみじみ語っていました。